3.11の大震災のテレビ映像で、陸前高田市の町が黒い津波に飲まれてゆく姿が何度も流れました。
その映像の中で、「酔仙」の看板が渦を巻く波に流されてゆく姿が心に残っていました。
3.11のすぐ後だったと思います。近所の量販店の酒屋の日本酒コーナーにこの酔仙酒造の「酔仙 純米酒」が2本置いてありました。
私の住んでいる東京の郊外の町も、計画停電が続き、慢性的な物資不足で、水やら当座の食料品を探しに立ち寄った「リカーキング」でみつけたお酒です。
お店の人は、その時、それがどういう酒蔵の酒があまり理解していなかったのかもしれません。
すぐさま2本とも買って、1本は翌朝会社に持って行って、陸前高田市出身の同僚に渡しました。彼は家族はみな無事だったそうですが、お兄さんが消防士、義理のお姉さんが市民病院の看護婦さんという事で、すごく大変な時期を送っていましたが、あの非常時に日本酒抱えて会社に出勤した私に笑いながらもすごく感謝してくれました。
で、もう1本を年末に口切りしました。
やはりいろいろあった一年のしめくくりにふさわしいお酒じゃないかな、と思いまして。

ラベルには「11.2」の刻印があり、震災前の2月に出荷されたお酒なのだと思います。

冷やで飲むと「ん?」という感じでちょっと醸造酒っぽい味なのですが、温めのお燗にすると、段違いに良くなります。
私は面倒くさがりなので、いつもレンジの温度設定で45度かにして、かなりあつあつにするお燗が好みなのですが、このお酒だけは温めのお燗がぴったりです。
レンジがふさがっている時に、湯煎でぬる燗にしたらさらに香りが立ち上って、別物のようになりました。
復興がすすみ、このような美味しいお酒がつくれる日が一日も早くくるよう心から祈っています。